せつない蒲田

 蒲田は東京23区だ。二駅いったら品川だ。最近は駅ビルもリニューアルしてぴかぴかになった。COACHだってかえる。化粧品はシャネルもある。週末の駅の周辺は、品川か神田と同じようなサラリーマンと、地元の多分専門学校の若い子と、だぼだぼのジャージをきた若い(はずの)まるまるとした若い人、同じようなジャージをきて金の鎖のついたバックを肩からかけ、何故か異様に顔色が白くていつもけだるげにケータイ電話で顔を傾けてる女の子。そんな子たちばっかりだ。
 飲み屋があふれ、屋台も少し。風俗店の前で呼び込むのは若いあんちゃんじゃなくて、かなり年期のはいったおじさん。羽根つき餃子の店では、働く女同士が飲み食いぐちり、中古メインのゲーム屋やブックオフはこうこうと明るくて、制服を着た子もサラリーマンと立ち読みして、期間限定ショップには歯医者用品がならんでいた。大人びたかっこうをした子供が交番のもっと明るい箱のなかでおまわりさんと話をしている。
 庶民的だとかいうには切なすぎる。都会の真ん中で、ケータイを手放さず、半径何センチかの世界で暮らしている。

 帰り道はネコ曜日だった。
 何匹ものネコたちにあいさつをした。