エントリーシートを書けない君たちへ

 春だ。まだ寒さが残るこの季節、リクルートスーツで寒そうな肌色のストッキングをさらしている女子をみると、毎年ちょっと切なくなる。もう10年。10年以上たっているのに、リクルートシーズンになると、きゅっと胸の奥が苦しくなる。

 あの頃は、携帯電話もメールアドレスも必ず持っているというものでもなかった。連絡は自宅の電話。メールアドレスは書いても使われた記憶はない。あの頃も景気は悪かったけど、なんてこった今ほどではない。

 でも悩みはかわらないようだ。
 何がやりたいかわからない人って、いっぱいいる。いまどきの日本で、ぼんやり大学にいって、就職活動を始める人の場合、ほとんどの人は、やりたいことなんて決まってない。この世の中、10年前から、大学を卒業する時点でやりたいことが決まっている人なんて少数派だ。

 採用する側は何を見ているかというと、「まじめに働く気があるか」「自分の会社の仕事がちゃんとできるようになりそうか」「社風にあうか」それらしか見ていない。本人のやりたい事とか、どうでもいい。一番重要なのは、「ちゃんと働く」ということだ。社風はなんとなくな話だけど、一流企業でも、最終的にはそこらへんで決めるらしい。

 やりたいことも、人生設計も何もなくていい。ただ、自分でお金を稼いで自分で生活をしなければならない、ということをちゃんとわかっている人、あるいは、万事誠実な人は、信頼感がある。

 何がやりたいかよりも、どういうふうに働きたいか、それが重要。だからって「会社より自分の趣味が大切」をそのまま口に出すのはバカなんだが、そこらへんに違和感を感じる人は、誰かに甘えている証拠だ。