『火花』はいつ散るのか

 芥川賞直木賞が発表されて、『火花』と『流』を買って来た。もうひとつの芥川賞受賞作品は、本が出たら買う。冒頭を読んで、どちらがおもしろいかといえば、『流』であるが、『火花』のほうが短いので先に読んでいる。
 三分の一は読み終えた。主人公たちは若く、ギラギラして、飢えている。主人公は、又吉の若い頃のようであり、そうでないようにもみえる。
 ピースは好きである。数えるほどしかみたことないし、最近はネタどころか、二人そろっての仕事もないようだが。楽しそうで愛らしく、ていじらしくてかわいらしい。そんな印象をうけた。お笑いコンビの関係性は、場合によってはブロマンスの一種である。恋人同士にはみえないが、夫婦や家族のように、兄弟のように、離れがたきものであるように。
 閑話休題。文学は読み心地が大切である。難解で何をいっているかさっぱり理解できなくても、おもしろい読み物が世の中にはある。『火花』は目下のところ、一生懸命に若者がとつとつ延々と語っていることを、夜通し同じようなボケとツッコミをくり返すがごとく、じっとずっと耳を傾けているような感覚である。体力がないおばちゃんは、ちょいちょい休憩をいれる必要がある。
 劇的な展開は期待していないが、読んでいるときは、いつ火花が散る展開になるのかな、と期待している安易な消費者としての自分もいる。
 何か起きるのか、何も起きて欲しくないのか。主人公はずっと真夜中の語り部のように語り続けるのか。