映画『インターステラー』宇宙の旅

 三時間の行きて帰りし宇宙の旅。観ている間はウソみたいに時間が気にならなかったが、終わったときには、本当に自分が宇宙と時間のずっと遠くへ行って帰ってきたような感覚がどっと押し寄せた。こんな体験ができることは、なかなか無い。

 公開前、映画館に行くたびに、親子の絆と壮大な哲学的な雰囲気をおしつけてくるうっとうしい予告編に、「ぜったいつまらない映画だ」と三度ぐらい思っていたが。公開が近づいてくると、大絶賛過ぎる嵐。良すぎる、好評すぎる。ここまでじゃぁ、SF好きの端っこにぶら下がっているものとしては、観ないではいられない。

 おもいきって、朝の一〇時二〇分の回のチケットを押さえ、ふうふうと早起きしてでかける。乗り継ぎがよくて意外と余裕をもって到着。次々とやってくるお客さんは、三十代以上の男女が多い。男女はやや男性が多いかなと思ったけど、半々ぐらいだったかも。
 映画がはじまってすぐのとあるところで、「あぁこれはおもしろい映画だわ」とテンションがあがって、そのあとは、もうずっと宇宙の旅をしていた。なんといっても、余計な説明無用でさくさく進むのがたまらなく良い。映像はもちろん味わい深く美しい。色味がなんとも言えず暖かい感じがする。

 帰りには別冊ニュートンを買った。相対性理論とか、時間とか重力とか。ニワカだ。人はいくつもの扉がある。扉をぱぱぱぱぱん!と、次々に開け放していくような、そんな映画。