温泉でショートする

小説家が缶詰になるので有名だったという旅館へ来た。首都圏から近い温泉郷の奥で、高級旅館の部類に入る。湯葉料理が有名らしいが、予算オーバーなので、オプションは断念した。 宿は小さな温泉郷のなかでも端っこの端っこで、バスを降りて歩くと、年配の男…

『好きなアイスは?』

行きつけのバーがある。どれくらいの頻度で何度その場所を訪れたら「行きつけ」と言えるのか、その言葉を知った頃くらいから、塩梅がわからないけれど、それはチェーン店の店だけれど、行きつけといっていいだろう。なぜなら店員が顔を覚えるからだ。顔を覚…

『好きなアイス』

「近所のまいばすけっとに、ブルーシールが売ってたんだよ」 何をトリガーに思い出したのか、唐突に翔太はいった。パカっとひらいたような笑顔だ。今日のビールは三杯目だが。暑い日で外の席で、すぐぬるくなるからと、ぐいぐい飲んでいた。かなりいいかんじ…

ゴジラはあさってここに来る

ぼくは知らなかったけれど ゴジラはあさってここにくる みんなは知っていたらしいけど 特に何をしようともしない 逃げるとか騒ぐとかやけくそになるとか ぼくはいてもたってもたまらなくて外にとびだして いつもとかわりない街の様子に戸惑った バギーをおす…

飛行機と雲

夕方の空に飛行機がとんでいく あの高さなら 茜色の夕焼けがよくみえる 機体の半分はキラキラに光っている 雲の半分は影、半分は茜色 彼方への旅立ちなのか 水平飛行もわずかのフライトなのか 空をみる乗客の心は どこに向かっているのだろう

『おすすめの手土産』

今週のお題「おすすめの手土産」 『ねぇ、だからさ、何がいいと思う、手土産』 スマートフォンごしに愚痴をひとくさり連ねたあとで、麻衣子は思い出したようにそういった。 『きいてる?、千紗きいてる?』 「きいてる」 千紗はパソコンでイラストを描いてい…

『ここまでは寒くここからはあつい』

からだの半分が寒く、からだの半分があつく。変な具合になって目が覚める。一人の同じからだなのに、上と下でこうもちがう。つやっぽい話ではない。寝られないのでクーラーをつける。冷たい風がふれると、からだがこわばって、タオルケットをずりあげる。だ…

『シロというネコ』

全身真っ白なので「シロ」という名前のネコは、まれに見る凶暴凶悪な猫だった。一緒に住んでいる家族にはなついているようだが、その家に頻繁に出入りする、近所や親戚など、ありとあらゆる人間を、眼光鋭くにらみつけ、もし心地よくなでてもらったとしても…

匿名でも、君はそこにいてほしい。

暑い朝、ツイッターのタイムラインに二つの訃報が流れてきた。両方とも、フォローはしておらず、たまにリツイートでみかけるアカウントだった。ひとつは、本人の近親者という人がアカウントの持ち主の死を告げていた。もうひとつは、肉親ではない近しい人が…

又吉のインタビューを読んで背筋が

今週のお題「ゾクッとする話」『火花』を読んで、自然と作者の記事やインタビューが目に入るようになってしまった。気軽に斜め読みして、ゾクッと背中が寒くなる。又吉が幽霊みたいで怖いから、ではない。自分は彼より五つぐらい年上だが、何も、なあんにも…

『火花』はいつ散るのか

芥川賞と直木賞が発表されて、『火花』と『流』を買って来た。もうひとつの芥川賞受賞作品は、本が出たら買う。冒頭を読んで、どちらがおもしろいかといえば、『流』であるが、『火花』のほうが短いので先に読んでいる。 三分の一は読み終えた。主人公たちは…

「好きな服」はアニエスベーだった。

今週のお題「好きな服」 一時期、アニエスベーにはまっていた。二十代の前半、ほとんどはじめて、自分で稼いだお金で自分の服を買うようになって、買うようになっていた。価格は安くない。だがものすごいデザインでなければ、一度買えば長く着られる。かなり…

書き終えること、書き続けることの困難さ

第一ハードルがまったくクリアできない。一枚も絵を描ききっていない絵描きみたいなものだ。一つの「完」もない。 最後に書き上げたのはいつだろうか、もう思い出せないくらい前。小説家になりたいとか、そんな寝言をいう以前のところに、ずっと居る。 遠く…

『ボタンの店』

店中びっしりボタンが並んでいる。小さな狭い店のなかで、祖母はお店のおばさんと、しばし世間話をする。 店の壁は引き出しで埋められて、天井までの隙間には、ボタンの箱が並んでいる。様々な色、形、きらきら。ただし全部ボタン、いま思えば、カラフルポッ…

書いていると眠くなる癖

私は書くことが好きだ。好きには違いない。書いているとすごく楽しいときがある。絵を描く人は、たいてい絵が好きで、絵を描いているときは楽しいだろう。それと同じだ。 でもうまく描けないとき、思うように描けないときは、いらいらして嫌な気持ちになる。…

包丁を研ぐ

包丁を研ぐのは、実は意外と時間がかかる。砥石に水を含ませなければならないからだ。砥石を見ずにいれると、「プクプクプクプク…」と小さな音をたてて気泡がたくさんでてくる。それが出てこなくなるまで待つ。 頻繁に研いでいれば、そんなに時間はかからな…

ル・クルーゼのグラタン皿

ル・クルーゼの鍋は高い。憧れているけど買えない。 でもセールをやっていた。季節商品は安くなるようである。(次の同じ時期になったら、しばらくおなじ物がでてくるらしい。)最初に目に入ったのは、ル・クルーゼぽいらしい仕様の黄色っぽい鍋だったが、そ…

英語教育は高校から

英語教育は、ネイティブスピーカーをやとえるなら小学校低学年で少し、あとは高校から選択制で良い。大学受験にあるならやらざるをえない。短期間でガツッとたたき込んだほうがいい。だらだら無理矢理みんなにやらせるから、変な発音がすり込まれるし、何よ…

それくらいのもの自分にも書ける

小説を読んでいて、そんなふうに思うことはほとんどない。 話題になっているブログやネタサイトの記事を見ると、それくらいのもの自分にも書けるわぁと、思っているような感じになることはある。何故「感じ」なのかというと、実際に書けるか?、というと、書…

『夢十夜』を写経

近頃、頭が回らなさすぎて、でも、書きたい感じがするので、書き写しをする。青空文庫から、適当に。詩はほどほどなら全部、小説は冒頭四百字詰め一枚のみ。夏目漱石の『夢十夜』を書き写し始めたら、おもしろくて、第一夜をぜんぶ書いてみた。 書いていると…

冬と夏のそうじき

東京の真夏は、三十五度を超える日も珍しくないので、掃除機をかけるのは大変である。エアコンで冷やしていても、あっという間に汗だくになり、ぽたぽた落ちてくる。危険を感じて、あわてて水を飲む。 それに対して冬は良い。もちろん、冷たい風をいれる勇気…

自己啓発なものを揶揄してしまう

じこけいはつ【自己啓発】 自分自身の潜在的な能力を引き出すための訓練。 (Macのスーパー大辞林) 自己啓発的なものをからかう癖がある。ダメだろう、笑えないだろうと思いつつも、その手キャッチコピーや、ブログのタイトルや本を見かけると、どこかで「…

書いたものを客観的に見ると

自分の書いたものを、ファイルを作って、キンドルにおくって読んでみた。 自分が描いたもの以上に、書いた文章を客観的に読むのは難しい。キンドルだと、かなり客観視できる。 ところで「客観的」とは、Macの国語辞典によると (形動) 個々の主観の恣意(し…

漫画のエヴァンゲリオンの最終巻

漫画のエヴァは、セールのときにキンドルでまとめ買いしたので、最終巻もキンドルで読んだ。新旧アニメからえんえん、あれこれしていたものが、きれいにまとまって着地した印象である。 かつ、読後感がとても暖かい感じがする。アニメのストーリーや構図を踏…

映画『インターステラー』宇宙の旅

三時間の行きて帰りし宇宙の旅。観ている間はウソみたいに時間が気にならなかったが、終わったときには、本当に自分が宇宙と時間のずっと遠くへ行って帰ってきたような感覚がどっと押し寄せた。こんな体験ができることは、なかなか無い。 公開前、映画館に行…

書くエネルギー

やはり書くエネルギーをたいしてもっていないようで、ブログを書いたら他のものが書きにくくなるなぁと分かった。短い文を毎日書きつつ、などと思ったけど。いやしかし、筋トレのつもりなら、そこをがんばるべきだろうか。

高倉健の秘話というコンテンツ

高倉健が亡くなっていた。もう密葬もすませていた。お別れ会とかしませんよ、なファックス流して。しょうがないので、テレビは「秘話」を流しまくる。どうも「秘話」ばっかり。 どうしてテレビが健さんの秘話ばかり流すのか、と考えたが、それは高倉健が「映…

すき焼きと肉豆腐

すき焼きが食べたいことがあるが、我が家にはすき焼き用の鍋がない。分厚いみんなでつつくような立派な鉄鍋でやるすき焼きやとても美味しいが、そもそも、そのような鍋もめったに売っていない。親にどこで買ったか聞いても無駄だろう。三十年は確実にたって…

『インディペンデンス』

夢いっぱいの未来に包まれるような多幸感と、やり残したこと、できなかったことへの焦り、諦め、伝えられなかった喉元につまるだけのコトバの原石。 いまでも思い出すと、ぐっと詰まるような錯覚をおこす。 「ちょっと、何やってるの!」 「え、えと…」 「ほ…

縦書きのデザイン

縦書きのデザインがあると知り、縦書きで書いてみる。一行だけ書いただけでは、広告がでてくるだけでうんざりである。広告を追い出すほどの量がなければ、これは使ってはならない。 それはどれほどの量だろう。おや、もうでてこなくなった。広告がでてこなく…